今日、長年住んできた大陸から、父と母、それに妹と弟と俺の5人家族で、
小さな島に引っ越してきた。
前住んでいた町で警察だった父は、犯人を追う途中で怪我をしてそれを機に引退した。
折角なので、
父と母の健康のためにも、都会より空気の良い所に移り住んできたのだ。
その為にも働いて、さらに、家族の分もお金を稼がなくてはいけない。
職を探さなくては・・・。
散歩していた所、同い年ぐらいの女の子が目に入った。
もしかしたら、友人第一号か!?
声をかけようとするが、あっという間に、家に彼女は入っていってしまった。
ここは・・・・。うちの隣の子だったのか。
しかし、無意識とはいえ、家まで着いていくなんて、ストーカーじゃないか俺!
いや、これは、隣の家に挨拶に行くだけなんだ。
どっちにしろ行く予定だったしな。
ピンポーン
「こんにちは。隣に引っ越してきた、ヴィット・ストックと申します。」
「どうも! ああ!都会から来たっていう・・・。」
「はい。今後よろしくお願いします。」
「私は、ディーヴァ・ローレンです。よろしくね。わからないことがあったら聞いてね。小さい島だけど、施設は大体あるわよ。あ、夕日が綺麗な場所とか今度教えてあげる。」
新しい家に着くまで、景色を見てきたが、島は緑が多く、両親も癒されるだろう。
「夕日も綺麗だろうね。」
「綺麗よー。小さな島だけど、飽きるってことはないわね。」
「ん?ディーヴァは、ずっと島育ち?」
「ディーでいいよ。うん。一度も島を出たことないよ。」
「じゃ、ディーで。マジで?出てみたいって思ったことないの?」
「機会がないだけよ。」
その後、しばらくディーと話し、ディーがアクティブな子で、趣味が合うことがわかった。
釣りの話をしたり・・・。
近所のうわさを聞いたり・・・
気がついたら、結構な時間をディーの家で過ごしていた。
ーーーーーー
(いーもの見ちゃった♪)
彼女は、ミリアム・ストック。ヴィットの妹だ。
最近おしゃれに目覚め、都会暮らしがすきらしく、唯一この島に行くのを反対した。
だが、好奇心旺盛なので、この島に着いてからは、見るもの見るものに興味を示し、なにも文句を言わない。
結構この島を気に入ったらしい。
「お母さん!」
「なぁに?もうすぐ夕飯よ。」
「いやいや、そんなことより聞いて!おにいちゃん彼女出来たかも!」
「まぁ。初日に?」
「だって、女の人の家に入っていくの見たよ!」
「あらあら。」
「女ってうわさ好きだよな。」
ふう、とため息をついた彼は、アデル・ヴィット。
赤ちゃんの頃は、輝くばかりのかわいい天使だったが、最近すこし、生意気になってきた。
そして、日が暮れて・・・。
「お、お父さん!ちょっと待って!」
「なんだ?ヴィットのやつ、夕飯の時間になっても帰ってこなかったじゃないか!もしかしたら、迷ったかもしれんだろ?探しに行く。」
父、イヴァは、今では、髪が白くなり、ひげも生やし、見た目は、やさしげな老人になったが、性格は頑固になった気がする。
「(こんな小さな島で迷わないって!)いや・・・。あー!お兄ちゃん、友達が早速出来たから、夕飯食べに行くってそーいえば言ってたかもー!私伝えるの忘れちゃった!ごめんなさい!えへ。」
「ん?そうならさっさと言いなさい。全く心配して、隣近所に周るところだった。」
(感謝しなさいお兄ちゃん。)
(やべー。もうこんな時間になってたのか。親父色々こうゆうことうるさいんだよな汗)
(帰っちゃった。なんか、久しぶりに楽しかったな。)
(さて・・・寝るか。)
「ただいまー!」
ようこそ。ストックファミリー。